お悩み相談②
K子・・・♀/51歳/事務員
A男・・・♂/30代/営業
B男・・・♂/30代/配送
突然のB男の告白にK子は思わず吹き出してしまった。
「私もう50歳のおばちゃんだよ。
A男さんがいくら評判悪くたって、一度好きになったのに簡単に忘れられないよ。
それにB男さんは奥さんと子供を大事にしなきゃ」
そう言うと、B男も笑った。
誰に相談したところでA男の答えなどわかるはずもない。
そうわかっていても、誰かにすがりたくなるほど辛い日々だった。
K子の力ない笑みを見て、B男は励ますように言った。
「いつもK子さんには面倒かけてるし、僕でよければ捌け口になりますよ!
言いたいこと言っちゃってスッキリしてください!」
B男の優しさに救われた。
2020年。
A男からの返信がない日々は続き、K子の心も限界寸前だった。
いっそ会わなければ気持ちも薄れていくのだろうが、
会社で会えば、笑って世間話にも応じなければならない。
A男の無神経さに腹を立てながらも、20年ぶりの恋愛感情は甘く重くのしかかる。
「せっかく好きになったのに、全部忘れてしまうなんて寂しい…」
そんなK子の気持ちを察したのか、B男は帰り際に声をかけてきた。
「ちょうど僕も帰るところなんで、駅まで一緒に帰りましょうよ」
K子は自分の心の澱を思いっきり打ち明けた。
A男に呆れた、腹が立つ、怒鳴ってやりたい。
…でも楽しい思い出もある。ただあの頃に戻りたい。
そんな堂々巡りの話をB男は黙って聞いていた。
やがて駅に着いたが、電車を一本見送って話し続けた。
自販機でコーヒーを買って、また電車を一本見送った。
人が少なくなったベンチに座り、また電車を一本見送った。
続く。